2013年9月6日金曜日

鳥類学者無謀にも恐竜を語る




 どんな本なのか。タイトル通りの本である。鳥類学者が畑違いであることは承知の上で恐竜について縦横無尽、思うがままに、無謀にも語った本である。
 10年くらい前には恐竜の仲間の一部が始祖鳥になり、そこから鳥に進化したという学説があったように思う。
 恐竜は大ざっぱに肉食の獣脚類と草食の鳥盤類に分けられる。前者の代表がティラノザウルスやディノニクスであり、後者の代表がトリケラトプスやイグアノドンである。そして鳥は肉食獣である獣脚類から進化したらしい。つまり獰猛なティラノサウルスとその辺を飛んでいる鳥は親戚であるらしい。
 中国辺りでは羽毛をもった恐竜が次々に発見されている。鳥は気嚢という極めて高効率の呼吸システムを持っている。従来は鳥は空を飛ぶために気嚢を進化させたと思われていた。実は恐竜もその気嚢を持っていたことが分かってきている。というか恐竜が繁栄したのも、あれほどまでに巨大になれたのも気嚢のおかげらしい。
 鳥が独自に進化させたと考えられてきた特徴をすでに恐竜は持っていたということである。こうなると、恐竜と鳥の境目はどんどん曖昧になる。
 ついには、恐竜は絶滅していませんでした。鳥は空飛ぶ恐竜でした。ということになってしまった。
 そうなると、鳥類学者の出番である。今までは恐竜の生態は発掘された化石と比較的近縁と考えられてきたワニの生態を元に類推されてきた。ここまで鳥と恐竜に共通点が見つかったのなら、その習性も極めて近いことだろう。
 これからは、筆者のような鳥類学者や鳥類学を学んだ古生物学者によって生の恐竜がどんな生活をしていたのかどんどん明らかになるとおもう。本書はそういう未来を予感させる本であった。
 筆者は文学的素養もある人であるらしく、学術的に興味深い恐竜学(一部鳥類学)の本であると同時にあちらこちらにクスリと笑えるネタも仕込まれている。
 恐竜に興味がある人もそうでない人も楽しく読める本だと思う。


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